《裁量労働制》2018.4
(秘書)この間、ニュースで「裁量労働制」について審議している国会の様子が取り上げられていました。「裁量労働制」ってどういうものなんですか。
(弁護士)労働基準法に規定されている労働時間制度の一つで、企業側が、実際に働いた時間にかかわらず当該労働者が○時間働いたものとみなしてしまう制度です。この制度にしたがって労働する場合、給料などは、このみなし労働時間にしたがって計算されます。
(秘書)ということは、みなし労働時間が1日あたり8時間とされている場合、例えば私が1日あたり3時間くらいしか働かなくても、8時間働いたものとみなされてそれに応じた給料がもらえるんですか!?仕事さえこなせば、お昼頃にゆっくり出勤することも早退も自由ですか!?
(弁護士)えらいポジティブですね(笑)簡単な理解としてはそういうことになります。でも、逆に考えると、いくら残業しようが、○時間働いたとしかみなされません。残業代も請求できません。
(秘書)怖い話ですね…。企業のさじ加減ひとつで導入できる制度なんですか。
(弁護士)もちろん制限があります。裁量労働制は、専門業務型裁量労働制というものと、企画業務型裁量労働制というものに区分されますが、前者の導入には、裁量に委ねるのに適した職種、例えば新聞記者や、ゲームクリエイターなどの一定の職種に限定されます。労使協定を締結する等の条件もクリアしなければなりません。
後者の導入はさらに厳しく、会社運営の中核を担うような企画立案業務を担当する労働者等に適用が限られるほか、適用される事業場も本店・本社に限る等の制限があります。労使委員会という組織の決議も必要となる等クリアすべき条件はかなり多いです。
(秘書)なるほど。聞く限りでは、ほとんどの企業・労働者に縁がなさそうですね。
(弁護士)そうかもしれません。与党は企画業務型裁量労働制の拡張を目指していたようですが、今年の2月末頃に断念しました。しかし、働き方改革が叫ばれている昨今の状況を考えると、裁量労働制の拡張について再び審議がなされてもおかしくないと思います。
(秘書)今後のことを見据えて、最低限のポイントはおさえておいたほうがよさそうですね。