《どのような場合に休業手当が支払われるの?》2020.8
(秘書)コロナウイルスの流行で、感染の可能性等を考えると色々不安です。「休業手当」という言葉を耳にしますが、もし私が感染して仕事を休むことになった場合、「休業手当」は支払われるのでしょうか。
(弁護士)ざっくり言うと、「休業手当」とは、企業側の責任で従業員を休業させた場合に支払われる賃金です。企業側の責任を否定する典型例としてよく挙げられるのが、大きな天災に見舞われて企業が活動を停止せざるを得ないような場合です。
コロナウイルスに感染した場合は、法にしたがって休業する形になるので、企業側の責任とは言いにくいでしょうね。「休業手当」を請求することは難しいと思います。
(秘書)それでは、感染したかははっきりしないものの、微熱の症状があり、この症状のせいで企業から休業の指示を受けたような場合はどうでしょうか。
(弁護士)その場合は、あくまで企業の自主的な判断による休業指示なので、企業側の責任で休ませたと言えると考えられます。感染の可能性がかなり高いことを伺わせるような事情でもなければ、企業に「休業手当」を請求できると思います。
(秘書)国や市から休業要請があって、企業が営業を停止し、従業員に出勤停止を命じたような場合はどうでしょうか。
(弁護士)今の法律の仕組みだと、あくまで休業することは要請で、命令ではありません。要請である以上、従うかどうかは企業が任意に決めるという建前があるので、企業の責任で、休業を決めて、従業員に出勤停止を求めれば、「休業手当」は支払う必要があると思います。
ただし、店名の公表など、休業要請が事実上の強制に感じられるようなケースもあるので、企業の責任とは言えないと判断される場合もあり得るかもしれません。
(秘書)前代未聞のことですし、法的に難しい判断になる場合もありそうですね…。
ところで、「休業手当」は、いくら貰えるものなんでしょうか。
(弁護士)法律は、最低でも「平均賃金の100分の60以上」を支払わないといけないと規定しています。
平均賃金は、休業の直近3ヶ月にもらっていた給与額の合計を、その3か月間の総日数で割って計算するのが原則です。算出した平均賃金額に、実際に休業日数をかけたものが、支払われるべき休業手当の総額です。
(秘書)整理できました。何かあった時の参考にします!