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問題社員への正しい対応とは|企業が取るべき手順とよくある事例を弁護士が解説

山下江法律事務所

問題社員への正しい対応とは|企業が取るべき手順とよくある事例を弁護士が解説

 企業の現場では、遅刻・欠勤、指示命令への不従順、ミスの多発、ハラスメント気質、協調性欠如、情報管理違反など、いわゆる「問題社員」への対応に悩まされる場面は少なくありません。しかし、問題社員対応は単純ではなく、誤った対応をした場合、企業側が加害者扱いされてしまうリスクすらある極めてデリケートな領域です。

 実際、労働法において解雇は最も厳しく制限されており、違法な指導や強圧的な退職勧奨は「パワハラ」「不当解雇」として企業側の責任追及につながることがあります。本コラムでは、企業が問題社員に直面した際に取るべき正しい対応ステップと、企業が頻繁に直面する典型的な事例を解説します。

目次

1.なぜ問題社員対応は企業側が不利になりやすいのか

日本の解雇規制は極めて厳しい

 能力不足・勤務態度不良などがあっても、企業が十分な改善機会を与えていない場合、解雇は無効と判断されることがあります。解雇が無効と判断されると、職場復帰、未払い賃金の支払いなど、企業側の負担は非常に大きくなります。

企業側の対応がパワハラと認定される危険性

 強圧的な叱責、人間関係からの切り離し(無視・孤立化など)や過大・過小な要求などは、パワハラと認定されるリスクがあります。「社員が問題を起こしていても、会社が責任を負う」という事態が起こり得るのです。

2.問題社員への対応で企業がまず取り組むべきこと

STEP1:事実関係の把握と“証拠化”

 遅刻・欠勤、ミスの内容、指示命令違反など、客観的記録が最も重要です。記録の有無で企業の立場は劇的に変わります。

STEP2:注意指導は「書面」で行う

 指導書・改善指示書に「問題点・改善方法・期限・再発時の処分」を明記することで、企業が適切に対応していることが裏付けられます。

STEP3:段階的な改善プロセス

  1. 口頭注意
  2. 書面指導
  3. 戒告など軽懲戒
  4. 配置転換・業務変更
  5. 退職勧奨(※同意が必要)

 段階を踏むことで、企業の対応が正当化されやすくなります。

STEP4:職務内容・配置転換による“環境調整”

 適性ミスマッチが原因であれば、業務内容変更で改善が期待できます。

STEP5:懲戒処分・退職勧奨は“最終段階”

 性急な懲戒解雇や退職強要は違法となるため、事前に弁護士に相談されることをお勧めします。

3.企業が実際に直面しやすい“問題社員の典型事例”

事例①:勤怠不良(遅刻・欠勤の繰り返し)

 遅刻・欠勤を放置すると企業側の管理責任が問われる可能性があります。記録・書面指導・就業規則に基づく段階的対応が必要です。

事例②:協調性欠如で職場に悪影響

 暴言、指導放棄、LINEでの攻撃的発言などがある社員を放置すると、他の社員からパワハラに遭っていると主張されるリスクがあります。証拠化と環境調整が必要です。

事例③:能力不足によるミス多発

 能力不足は即解雇理由にはならず、企業が指導・教育して改善の機会を与えることが重視されます。具体的数値目標、研修、面談が重要です。

事例④:業務拒否(指示無視型)

 業務命令が合理的か確認したうえで、文書で命令と拒否理由を記録。再発時は処分検討も可能です。

事例⑤:情報漏えいにつながる規律違反

 私物スマホでの会社情報の撮影、無断持ち出しなどは懲戒理由になり得ます。規程に基づく注意指導と証拠化が重要です。

事例⑥:陰口・不満拡散で職場を乱す社員

 社員からのヒアリング、公正な調査、書面指導などで対応します。放置は組織崩壊につながります。

4.企業が絶対にやってはいけないNG対応

  • 感情的な叱責・威圧
  • 記録を残さない
  • 手続を飛ばした突然の懲戒
  • 退職強要
  • 過度な監視・孤立化

 これらはパワハラ認定につながる典型例であり、企業側の敗訴リスクが極めて高くなります。

5.弁護士が介入することで得られるメリット

 問題社員への対応を怠ると、「社員の行為に問題があるのに、他の社員から企業側の責任を問われる」という事態が生じてしまいます。
 そのため、弁護士の介入によって企業が受けられるメリットはとても大きく、以下のような5つのポイントが特に重要です。

① 適法かつ適切な手順を設計してくれる

 問題社員対応は、段階を踏んで改善機会を与えているかが重要とされます。
 弁護士が入ることで、

  • 記録の取り方指導書の文言
  • 改善指導 → 書面指導 → 配置転換 → 懲戒という 適切な順番(プロセス)
  • 適切な時期に実施すべき手続

を明確にし、企業が「負けない対応」を取れるように整えてくれます。

② 書面指導・懲戒処分の“文言”を適切に作れる

 問題社員を指導するときの文言を誤ると、訴訟で企業側の対応が不十分であるになどと主張されるリスクがあります。
 弁護士が介入すると、

  • 改善指示書
  • 始末書
  • 戒告書
  • 配置転換通知
  • 退職勧奨の説明書面

などを法的に適切な形で作成できます。
 文言が曖昧だと、企業の対応に問題があったと評価されるおそれがあります。

③ パワハラ・不当解雇と主張されるリスクを大幅に下げられる

 弁護士は、

  • どんな指導がパワハラに該当し得るか
  • どの懲戒処分が不相当とされやすいか
  • どのような証拠が必要か

を熟知しています。
 そのため、弁護士が関与することで、企業が知らず知らずのうちに 法的にアウトな対応 を避けられるため、後の紛争リスクを大幅に減らすことができます。

④ 問題社員による“反撃行為”への備えができる

 問題社員はしばしば、

  • パワハラ申告
  • 労基署への駆け込み
  • SNS拡散
  • メンタル不調申告
  • 労災の請求
  • 弁護士をつけて反論

といった対応に出ることがあります。
 弁護士が入っていれば、こうした事態にも

  • 企業がとるべき初動
  • 反論方法
  • 証拠の整理
  • 交渉・対応窓口の一本化

を適切に進め、企業に不利な展開を避けることができます。

⑤ 労働審判・訴訟になっても企業が有利に進められる

 問題社員対応は、適切に手続を進めていたとしても、一定の割合で紛争化してしまいます。
 しかし、そのときに弁護士が早い段階から関与していれば、

  • 記録
  • 指導書
  • 手続の流れ
  • 懲戒の合理性
  • 配置転換の正当性

などを揃えた状態で臨めるため、企業側が圧倒的に有利 になります。
 途中から相談するより、早い段階から関わってもらう方が「理想的な証拠の積み上げ」ができるため、結果が大きく変わります。

【まとめ】弁護士の介入は“企業を守るための防御と攻めの法務”

 問題社員への対応は、

  • 感情を出すと企業が不利
  • 手続を誤ると企業が不利
  • 書面が不十分でも企業が不利

という 企業に圧倒的に厳しい領域 です。
 そのため、弁護士が入ることで、

  • 正しい手順の設計
  • 書面の整備
  • 証拠化の徹底
  • パワハラ認定の回避
  • 労働紛争の予防・解決

という非常に大きなメリットを企業は享受できます。

 企業を守る最も効果的な方法は、早期から弁護士を関与させることです。

 当事務所では問題社員対応について、企業側の立場から原則初回相談無料で承っております。小さな不安の段階でも、ぜひお気軽にご相談ください。

執筆者

田中伸

代表/中筋オフィス長/弁護士(企業法務チームリーダー)

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