企業法務に強い顧問弁護士なら広島最大級の

広島最大級の弁護士事務所、山下江法律事務所のロゴ

有給休暇を取りたい! 有給拒否された場合の対処方法について

 働いている人ならばだれでも必ず耳にするのが「有給休暇(有給、年次有給休暇。これ以降は『有給休暇(有休)』と表記)」です。
 労働者の権利であるこの「有給休暇(有休)」について、

・有給休暇(有休)が発生する条件とは
・会社側は、社員が有給休暇(有休)をとることを拒絶できるか
・有給休暇(有休)を拒否された場合は何ができるか

について解説していきます。

有給休暇は労働者の権利です~有給休暇が発生する条件とは

 ご存じの人ばかりかと思いますが、まずは「有給休暇(有休)とは何か」についておさらいをしていきましょう。

 有給休暇(有休)とは、ごく簡単にいえば、「賃金が支払われる休暇」のことをいいます。つまり有給休暇(有休)をとった場合、その日は仕事をしていなくても賃金が支払われるということです。
 この有給休暇(有休)は、労働者の権利として、労働基準法第39条に記載されています。

 実際の発生条件は各勤め先によって異なりますが、法律では「その人を雇ってから6か月間経った時点で、有給休暇(有休)を与える。ただし、その期間のうちの80パーセント以上は出勤している必要がある。」としています。

 ここでは特に記載しない限りは「正社員であること」を前提として話していきます。
 しかし上述のような条件をクリアしさえすれば有給休暇(有休)が発生するため、実際にはアルバイト(パート)でも有給休暇(有休)の制度は利用することができます。
 ただ、有給休暇(有休)の日数は異なります。基本的には出勤している日が多ければ多いほど有給休暇(有休)の日数は増える傾向にあり、出勤している日が少なければ少ないほど有給休暇(有休)の日数が少ない傾向にあります。

 このように、有給休暇(有休)の権利は実は非常に多くの人が有しているものです。しかし日本の有給休暇(有休)取得率は非常に少ないのが現状です。
 平成30年の調査では、有給休暇(有休)の取得状況は51.1パーセントにとどまっています。ただそれも、平成28年の調査では50パーセントを切っていたことを考えると、随分改善したといえるでしょう。
 また2019年からは、「10日以上の有給休暇(有休)を与えられている従業員に対しては、企業側が年に5日の有給休暇(有休)を取得させなければならない」として、有給休暇(有休)をとらせることが「義務」となりました。

出典:厚生労働省「平成30年 就労条件総合調査の概況」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/18/dl/gaiyou01.pdf

有休拒否は、一定の条件を満たした場合のみ可能である

 しばしば、「こんな理由では有給休暇(有休)を取得できないのではないか」と考えて悩む人がいます。また旧態依然の会社では、「こんな理由での有給休暇(有休)は認められない」と突っ返してくる場合もあります。

 しかし有給休暇(有休)は、労働者の持ちうる権利です。労働者は原則として、いつでも、どんな理由でも、有給休暇(有休)をとることができます。
 「介護のために有給休暇(有休)をとりたい」「子どもの運動会があるので有給休暇(有休)をとりたい」などのような理由はもちろん、「コンサートに行きたい」「デートのために有給休暇(有休)をとりたい」「お見合いがある」「たまっている家事をやるために」「特に理由はないけれど、1日中家でぼうっとしたいから」などのような理由でも有給休暇(有休)はとることができます。
 また会社側は、原則として、有給休暇(有休)を拒否することはできません。

 ただし、会社側にも有給休暇(有休)に対して「とる時期を変更してくれ」と申し出ることはできます。
 労働基準法の第39条「年次有給休暇」を定めた項目に、“ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。―引用:電子政府e-Gov「労働基準法」https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=322AC0000000049&openerCode=1#212
という表記があります。

 これはごく簡単に言えば、「とてもばたつく繁忙期に有給休暇(有休)を申請された場合は、企業側は申請者に対して、『有給休暇(有休)はとってもいいけど、違う時期にして』と言うことができる」ということです。

 たとえば、「その人しかできない業務がありその締め切りが明日に迫っているのに、有給休暇(有休)が欲しいと言われた」「決算時期で社を上げての大忙しの状態になっているのに、冠婚葬祭以外の理由で10日間も有給休暇(有休)が欲しいと言われた」などのようなケースです。

 逆に言えばこのような特例がない限り、会社側は有給休暇(有休)の申請を拒絶することはできません。またこれはあくまで「時季の変更」を求めるものであり、有給休暇(有休)の申請自体を止めさせることはできません。

有休拒否された場合にできること

 有給休暇(有休)の申請を拒否された場合は、まずは拒否された理由を聞きましょう。
 たとえば、「申請者自身はその会社に入ってまだ1年目だったから知らなかったが、その時期は会社が非常に忙しい時期にある」などの理由があるかもしれません(上記で挙げた時季変更権の適用条件)。
 また上記の理由で断られた場合は、「その翌月ならば大丈夫なのか」「いつくらいならばいいのか」を確認しましょう。この段階で、「〇月×日以降なら大丈夫」「この日からならOK」などのように言われた場合は、それに従えば問題ありません。

 ただ明確な答えがなかったり、何度有給休暇(有休)を申し出ても却下されていたり、「そんな理由では有給休暇(有休)は許可できない」と言われた場合は、パワハラを疑う必要も出てきます。
 正当な理由なく有給休暇(有休)を拒絶した場合は会社側が罰則を受けることになりますし、また裁判をして相手の非を認めさせることもできます。実際に、裁判によって損害賠償請求が認められたこともあります。
 なお、有給休暇(有休)の申し出・取得を理由として不当な評価をすることもまた違法とされています。

 「有給休暇(有休)が認められない」という場合は、まずはさらに上の上司や人事部に相談しましょう。
 それでも改善されないようならば、労働基準監督署や弁護士への相談を検討してください。

閉じる