従業員・元従業員から会社が請求を受けたり訴えられたりした場合の対応 ―企業が押さえるべき初動―
企業経営を行っていく中で、どれほど労務管理に気を配っていても、従業員や元従業員から会社が訴えられるという事態は避けきれないことがあります。
突然、内容証明郵便や労働審判の通知、裁判所からの訴状が届き、対応に戸惑う企業も少なくありません。
このような場面で重要なのは、感情的に反応せず、企業として適切な初動対応を取れるかどうかです。
初動を誤ると、派生的な責任まで問われ、紛争が長期化したり、高額な解決金を支払う結果につながるおそれがあります。
本コラムでは、従業員・元従業員が、会社に対して、何らかの請求や訴えが提起された場合に、企業が最初に押さえるべき対応と法的ポイントについて解説します。
目次
会社が訴えられる主なケース
企業が従業員や元従業員から訴えられるケースとしては、次のようなものがあります。
- 未払い残業代・割増賃金の請求
- 不当解雇・雇止め
- 退職勧奨や退職強要を理由とする損害賠償請求
- パワハラ・セクハラなどハラスメント
- メンタル不調や労災を理由とする責任追及
「会社に正当な理由がある」だけでは足りない理由
企業側としても、「指導はしていた」「問題行動があった」「やむを得ない対応だった」と考えている場合が多いでしょう。しかし、労働紛争においては、企業側の判断や認識そのものは決定打になりません。
日本の労働法制では、解雇や懲戒の有効性について、
- 手続が適切であったか
- 改善の機会が十分に与えられたか
- その事実を裏付ける証拠があるか
が厳しく問われます。
どれか一つでも欠ければ、会社側が不利な判断を受ける可能性が高くなります。
会社が訴えられたときに避けるべき対応
訴えられた直後に、次のような対応を取ることは非常に危険です。
- 本人と直接やり取りをして感情的に反論する
- 社内で証拠になりそうな資料を廃棄・修正する
- 事態を軽く見て対応を後回しにする
これらは、企業側の立場を大きく不利にする可能性があります。
企業が取るべき正しい初動対応
① 請求や訴えの内容と期限を正確に把握する
まずは、請求内容、金額、対応期限を冷静に確認します。
労働審判や訴訟には、厳格な期限が設けられています。特に、労働審判においては、早期に綿密な検討が必要なので、緊急性が高いといえます。
② 証拠・資料を整理し、保全する
雇用契約書、就業規則、勤怠データ、給与明細、指導記録、メールなど、関連資料を網羅的に確保します。
③ 社内での単独判断を控える
対応方針を誤ると、後から修正が効かなくなるため、早期に専門的視点を入れることが重要です。
弁護士に早期相談すべき理由
従業員・元従業員から会社が訴えられた場合、早期に弁護士が介入することには、次のような大きなメリットがあります。
企業にとって不利にならない戦略を立てられる
争うべきか、交渉による早期解決を目指すべきか、冷静な見極めが可能になります。
請求額を適切に精査できる
未払い残業代や慰謝料請求は、計算や法的評価により減額できるケースもあります。
不用意な発言・対応を防げる
企業側の言動が証拠として使われるリスクを最小化できます。
労働審判・訴訟まで一貫した対応が可能
初動から関与することで、法的判断に基づいて、訴訟を見据えた準備ができます。
「もっと早く相談していれば」と後悔する企業は多い
実務上、「初期段階でもっと早く相談していれば、ここまで問題が大きくならなかった」という事案は数多く存在します。
特に、労働審判を申し立てられたり、訴えられてからの対応は、時間的・精神的・金銭的負担が非常に大きくなるため、初動が何より重要です。
弁護士より
従業員・元従業員から何らかの請求があったり、会社が訴えられた場合、「初動対応をどう行ったか」 が、その後の結果を大きく左右します。
これまでの経緯もある事から、会社の感情的な対応や社内判断での独断的な動きは、不利な証拠を積み重ねてしまう結果、紛争の長期化や相場以上の金銭的負担を負うことになりかねません。
重要なのは、
- 請求や訴えの内容を正確に把握すること
- 証拠を整理・保全すること
- 早い段階で専門家の法的判断を対応方針に組み入れること
です。
労働紛争は、早期に弁護士が関与するほど、企業側が主導権を握りやすく、リスクを抑えた解決が可能になります。
当事務所では、従業員・元従業員から訴えられた企業様のご相談について、原則初回相談無料で対応しております。「弁護士に相談すべき案件か迷っている」という段階でも構いません。お困りの企業様は、できるだけ早くご相談ください。
