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副業禁止は違法?企業が守るべき労働法とガイドライン

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目次

【Q&A】そうだ!弁護士に聞いてみよう!

《副業禁止は違法?企業が守るべき労働法とガイドライン》福山支部/弁護士 檜上芙雪 2025.12

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企業は、従業員の「副業・兼業」を規制してもいいのでしょうか?
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近年、「副業・兼業の促進」が国の方針として掲げられ、企業や自治体でも制度整備が進んでいます。厚生労働省のガイドラインでは、原則として副業を認める方向性が示され、労働者のキャリア形成や収入多様化を後押しする動きが強まっています。しかし、副業や兼業による企業側の懸念(労働時間管理や情報漏洩リスク、競業避止義務)から、「副業・兼業禁止」を定める企業も少なくありません。
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企業が、「副業・兼業」を一律禁止とすることは有効なのですか?
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法律上、勤務時間外の活動は原則自由であり、一律禁止は合理性を欠くとされます。裁判例でも、包括的な禁止条項は無効と判断される傾向があります。ただし、禁止が有効となる場合もあります。例えば、本業に支障をきたす恐れがある場合、企業秘密の漏洩リスク、競業避止義務、企業の信用毀損など、合理的な理由がある場合には制限が認められます。公務員については国家公務員法・地方公務員法で副業が原則禁止されており、許可制で一部緩和されるにとどまります。
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従業員の副業・兼業について企業側が気を付けなくてはいけないことはなんですか?
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従業員の副業・兼業について、企業側の最大の課題は「労働時間の管理」です。働き方改革関連法により、複数勤務先の労働時間を合算して管理する必要があります。これは過重労働防止の観点から重要ですが、実務上は困難な場合も多く、ガイドラインでは簡易的な「管理モデル」も容認されています。企業は副業先と連携し、労働時間の把握や健康配慮を徹底することが求められます。

ガイドラインは、副業を全面禁止するのではなく、事前届出や許可制を導入し、情報管理や競業回避を図ることを推奨しています。届出制は企業にとってリスク管理の有効な手段となり、労働者にとっても透明性の高い制度運用を可能にします。
副業はスキル向上や収入多様化の手段として有効ですが、企業には合理的な制限と届出制を組み合わせた制度整備、労働時間管理、健康配慮が不可欠です。労働者も届出義務や税務処理を怠ればトラブルに発展する可能性があります。そのため、透明性と安全性を両立した副業制度の構築が求められています。

執筆者

檜上芙雪

福山・東広島支部/弁護士(離婚チームリーダー)      

企業法務チーム、刑事事件チーム、離婚チームに所属。
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