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社労士だより「障がいのある方への必要な配慮について(令和6年4月1日法改正)」2024.7

山下江法律事務所

業務提携先である、フクシマ社会保険労務士法人の社会保険労務士/松本雄介さんによるコラムを連載します。ぜひご覧ください。

目次

1.法改正

令和6年4月1日から事業者による障害のある方への合理的配慮の提供が義務化されています。日常生活・社会生活において提供されている設備やサービス等については、障害のない人は簡単に利用できても、障害のある人にとっては利用が難しく、結果として障害のある人の活動などが制限されてしまう場合があります。このような場合に、障害のある人の活動などを制限しているバリアを取り除く必要があり、障害者差別解消法では行政機関等や事業主に対して、障害のある人に対する「合理的配慮の提供」を求めています。

2.合理的配慮の具体例とは

例1

飲食店で車椅子のまま着席したいとの申し出があった場合に、机に備え付けの椅子を片付けて、車椅子のまま着席できるスペースを確保する。

例2

難聴のため筆談によるコミュニケーションを希望したが弱視でもあるため細いペンや小さな文字では読みづらいとの申し出があった場合に、太いペンで大きな文字を書いて筆談を行う。

例3

文字の読み書きに時間がかかる為、セミナーへ参加中にホワイトボードを最後まで書き写すことができないとの申し出があった場合に、書き写す代わりに、デジタルカメラ、スマートフォン、タブレット型端末などで、ホワイトボードを投影できるようにする。

3.合理的配慮の提供における留意点

下記は、障害を抱える方から申し出があった際に、避けるべき考え方や言葉の例です。

「前例がありません」 合理的配慮の提供は個別の状況に応じて柔軟に検討する必要があります。

前例がないことは断る理由になりません。

「特別扱いできません」 合理的配慮は障害のある人もない人も同じようにできる状況を整えることが

目的であり、「特別扱い」ではありません。

「もし何かあったら…」 漠然としたリスクだけでは断る理由になりません。どのようなリスクが生じ、

そのリスク低減のためにどのような対応が出来るのか、具体的に検討する必要が

あります。

「〇〇障害のある人は…」 同じ障害でも程度などによって適切な配慮が異なりますので、ひとくくりにせず個別に検討する必要があります。

4.合理的配慮の提供を求められた場合は、全てに応じる必要があるのか?

合理的配慮を提供できなくとも、その合理的配慮を提供することが「過重な負担」に該当する場合
は、提供義務に違反しないケースもあります。
「過重な負担」の判断は、個別の事案ごとに下記①~⑤の要素を考慮し、具体的場面や状況に応じ
て総合的・客観的に判断します。

① 事務・事業への影響の程度(事務・事業の目的・内容・機能を損なうか否か)
② 実現可能性の程度(物理的・技術的制約、人的・体制上の制約)
③ 費用・負担の程度   ④事務・事業規模   ⑤財政・財務状況

5.最後に

障害者差別解消法についてのご質問に回答する「つなぐ窓口」という電話相談窓口も内閣府にありますので、ハンディキャップを抱える方も暮らしやすい環境づくりの為に適切な対応をしていきましょう。

連絡先

電話相談:0120-262-701(毎日10時から17時まで(祝日・年末年始を除く))

メール相談:info@mail.sabekai-tsunagu.go.jp

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