業務提携先である、フクシマ社会保険労務士法人の社会保険労務士/松本雄介さんによるコラムを連載します。ぜひご覧ください。
『再度確認!割増賃金の計算の基礎となる賃金とは』 社会保険労務士/松本雄介 2020.3
こんにちは。弁護士法人山下江法律事務所と業務提携をしております、フクシマ社会保険労務士法人の松本です。
今回のテーマは「再度確認!割増賃金の計算の基礎となる賃金とは」についてです。
割増賃金の計算の基礎となる賃金は、所定労働時間の労働に対して支払われる賃金の全てになります。ただし、以下の①~⑦については、労働と直接的な関係が薄く、個人的事情に基づいて支給されることなどの理由により、割増賃金の基礎となる賃金から控除することができるとされています(これらについては、例示ではなく限定的に列挙されているものであり、これらに該当しない賃金は全て算入されなければなりません。)
① 家族手当(扶養手当)
② 通勤手当
③ 別居手当(単身赴任手当)
④ 子女教育手当
⑤ 住宅手当
⑥ 臨時に支払われる賃金
⑦ 1カ月を超える期間ごとに支払われる賃金
しかし、①~⑤の手当については、このような名称の手当であれば、すべて割増賃金の基礎
となる賃金から除外されるわけではありません。
例えば、扶養家族の有無・家族の人数に関係なく一律支給される家族手当や通勤に要した費用・通勤距離等に関係なく一律に支給される通勤手当、一律に定額支給される住宅手当などは割増賃金の計算の基礎となる賃金から控除できません。
特に通勤手当や住宅手当については一律で支給されているというケースをたまに耳にすることがあります。労働基準監督署の調査があった場合には遡及して支払うよう行政指導されてしまいますので注意が必要です。