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同一労働同一賃金について考える

山下江法律事務所

 業務提携先である、フクシマ社会保険労務士法人の社会保険労務士/松本雄介さんによるコラムを連載します。ぜひご覧ください。

目次

同一労働同一賃金について考える

1.同一労働同一賃金とは

 同一労働同一賃金とは、同一企業・団体における通常の労働者(いわゆる正規社員)と非正規社員等(有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者)の間の不合理な待遇差を設けない考え方です。

 対象となる待遇は、基本給、各種手当、賞与、退職金、休暇制度、教育訓練、福利厚生などの全ての待遇です。

2.均等待遇と均衡待遇

 正規社員と非正規社員について、「職務内容(業務の内容・責任の程度)」および「職務内容及び配置の変更の範囲」に違いがあるなら違いに応じた状態(均衡待遇)、違いが無いなら同一の状態(均等待遇)であることを指します。「均衡待遇・均等待遇の状態であること=同一労働同一賃金の達成」と考えることができます。

 そのため、同一労働同一賃金への対応として、まず、労働者を職種や雇用形態(契約社員、パート、アルバイト、嘱託社員(定年再雇用者)など)ごとに区分し、それぞれの「職務内容(業務の内容・責任の程度)」および「職務内容及び配置の変更の範囲」等を整理・比較する必要があります。

 次に、待遇(特に手当、賞与、退職金、休暇や休職制度など)の性質や支給(付与)目的を明確にする必要があります。支給(付与)目的や性質が非正規社員にも妥当するにもかかわらず、正社員との間の職務内容等の違いに応じた均衡のとれた内容を支給(付与)しない場合、不合理と認められる可能性があります。

3.同一労働同一賃金におけるガイドラインと改正

 同一労働同一賃金については、厚生労働書よりガイドラインが公表されています。ガイドラインは、正規社員と非正規社員との間に待遇差が存在する場合に、どのような待遇差が不合理なものであり、どのような待遇差が不合理なものでないのか、原則となる考え方及び具体例を示したもので、原則となる考え方等に反した場合、待遇差が不合理と認められる可能性があります。

 ガイドラインについては、令和8年4月28日に改正パートタイム・有期雇用労働法施行規則、改正雇用管理指針とともに、改正同一労働同一賃金ガイドラインが公布され、令和8年10月1日から適用されています。

 ガイドラインの内容は最高裁の判例を基に作成されており、ガイドラインに記載がある内容については最高裁で特に不合理とされた(会社が負けている)事例が多いものとなっています。

 ガイドラインの主な改正事項は次のとおりです。

<裁判例を踏まえた記載の見直し(追加)>

賞与/退職手当

 賞与、退職手当の性質・目的として、労務の対価の後払い、功労報償等の様々な性質や目的が含まれ、これらの性質・目的が妥当するにもかかわらず、非正規社員に対し、通常の労働者との間の職務の内容等の相違に応じた均衡のとれた内容を支給しない場合、不合理と認められるものに当たりうる。

無事故手当

 正社員と業務の内容が同一の非正規社員には、正社員と同一の無事故手当の支給が必要。

家族手当

 労働契約の更新を繰り返している等、相応に継続的な勤務が見込まれる非正規社員には、正社員と同一の支給が必要。

住宅手当

 住宅手当であって、転居を伴う配置の変更の有無に応じて支給されるものについて、正社員と同一の転居を伴う配置の変更がある非正規社員には、正社員と同一の支給が必要。

病気休職・休暇

 正社員に病気休職や休暇期間に係る給与の保障を行う場合には、労働契約の更新を繰り返している等、相応に継続的な勤務が見込まれる非正規社員にも、正社員と同一の給与の保障が必要。

夏季冬季休暇

 非正規社員にも、正社員と同一の夏季冬季休暇の付与が必要。

褒賞

 褒賞であって、一定の期間勤続した労働者に付与するもの(例えば永年勤続表彰など)について、正社員と同一の期間勤続した非正規社員には正社員と同一の付与が必要。

<いわゆる「正社員人材確保論」>

 正社員と非正規社員との間に待遇の相違がある場合において、その要因として当該待遇差の理由として「正社員としての職務を遂行しうる人材の確保及びその定着を図る」等の目的があったとしても、当該目的があったことのみをもって直ちに、待遇差が不合理ではないと当然に認められるものではないことに留意する。

<正社員の待遇引き下げによる待遇の相違の解消>

 正社員と非正規社員との間の不合理な待遇差を解消する際には、正社員の労働条件を不利益に変更するのではなく、非正規社員の労働条件の改善を図ることが求められるものであること。

<定年後に継続雇用された有期雇用労働者>

 正社員と定年後継続雇用の有期雇用労働者との間の待遇差が不合理と認められるか否かは、それぞれの待遇の性質・目的に照らして判断されるものであるため、定年後継続雇用の有期雇用労働者であることだけで、直ちに不合理ではないと認められるものではないこと。

<無期雇用フルタイム労働者>

 無期雇用フルタイム労働者は、パートタイム・有期雇用労働法が適用される対象ではありませんが、労働契約は、均衡を考慮しつつ締結すべきものであり、この均衡の考慮に当たっては、ガイドラインの趣旨を考慮すべきであることに留意する必要があること。

4.最後に

 正社員と非正規社員の間で待遇差がある場合には、その目的や根拠を説明できるか今一度、整理・確認し、対応していきましょう。

執筆者

  執筆者 フクシマ社会保険労務士法人 社会保険労務士 松本 雄介
プロフィール
得意分野:労働法務
担当業務:人事・労務相談、労務監査 / 人事評価制度の作成・見直し / 社員研修 / 手続き業務 / 諸規程の作成・見直し
お客様へひとこと:ここ数年で労働分野、雇用分野、社会保障・年金分野における色々な動きが、IT・情報分野のようにものすごいスピードで目まぐるしく変化してきており、今後もまだまだ大きな変化が予想されます。その変化への対応に専門家として一つでも多く力になれればと思います。

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